えげれす通信、再び

20年ぶりに復活しました

【新】えげれす通信2024_vol.01:マレーシア入国編 (11/02/2024)

今年のえげれすにはマレーシア航空で行く。去年のシンガポール航空とはイロイロと対照的である。2024年2月11日(日)、成田へ行く。

 

マレーシア航空A-330-300

 

去年のシンガポール航空は、総二階建の最新鋭機「A-380」だったが、今年のマレーシア航空は、フツーの「A-330-300」である。シート配置は2-4-2席、中型機である。機内に入ってトイレの扉を見ると、表示がめちゃくちゃ剥げている。改めて内装をよく見ると、なんというか、「昭和の旅館」的な風貌である。全てがピカピカしていたシンガポールさんとは違いすぎるぞ。

 

ちょっと不安になりながらも自席に着くと、オンラインチェックイン時のシートマップと配置が違うではないか。一番後ろの真ん中、通常は2-4-2の「4」だが、シートマップ上では、最後尾だけは「4」が「3」に減り、その「3」は「1-2」となり、「1」は独立席と表示されていた。僕はその、「隣に誰もいない」席をわざわざ狙い撃ちしたのだが、実際は、「3」はただの「3」であり、隣はただの座席であった。幸い誰もいないから良いけど、シートマップ上の表示と違うやないか。こういうところよね。細かい気遣いが行き届くかどうか。少なくともシンガポールさんでは、こういうのはなかったよな。

 

そしてさらに驚いたことに、リクライニングが効かない。「最後尾だからシート配置的に倒すことができません」、ではなく、完全に、「劣化したけど放置しています」のヤツだ。ミテクレはビロード的な椅子でツヤツヤして綺麗そうなんだけど、座ったらガン!って微妙に少しズレるヤツ・・・「地方のスナック」的な?なんとなく、今後もなかなかに、イロイロとヤラカシてくる予感がする。

 

ハード面はさることながら、ソフト面を観察すると、パーサーに男性が結構多いのに加えて、なかなかのオヤジ揃いである。重厚な雰囲気で、丁重に客を迎え入れる「オーナー」というよりはむしろ、よく言えば寡黙的な、愛想が溢れ出てくるタイプではない、なんとなく「雇われバーテン」のような風情のオヤジたちである。僕の通路担当のオヤジパーサーは、さっきから、通路を行き来する際に、僕の膝に3回ぶつかっている(謝らず)。彼はまったく笑わない。能面的なバーテンである(そういう人もいるよね)。そして、パーサーの女性陣は、髪型、化粧、年齢層ともに、なんとなく、「場末のスナック」感を出している。

 

昭和の旅館感

地方のスナック感

場末のスナック感←new!

 

安全確認ビデオでは、パーサーの格好をした人たちと客の格好をした人たちが、踊りながら、歌いながら、「ベルト締めろ♪」だの「酸素マスクつけろ♬」だのと、なにやらミュージカル調で迫ってくる。シンガポールさんのヤツは、日常的シーンに擬えてオサレに作られていた。東南アジアのエアラインでは、「物語風」が流行りなのか?あとは、ガルーダとタイに乗って、各種コンプリートをしてみたい気もする。

 

乗客たちの感じも、なかなかに対照的である。シンガポールさんでは、全員シュッとしていて、スーツ姿のビジネスマンも多かった。機内でノートパソコンで仕事する人も多かった。しかしマレーシアさんでは、なんとも野暮ったい、おっちゃんおばちゃんが多い。スーツ姿なんて、ほとんどいない。
 
…うーん、やはり、場末のスナック感
 
さて、期待のメシはどうだ??待望のメシタイムになったが、無愛想なバーテンオヤジが持ってきたのは、有無を言わさず「和食」。能面的表情で「チキンもあるけど無くなった」と釈明するが、「大変申し訳ないのですが・・・」という、サービスの基本である謙譲の精神は感じられない。それどころか、なんだか、「日本人には和食でええやろ」的な決め打ち感がある。
  
雑なんだよなあ。
 
なんというか、ハード面もソフト面も、ここまでの印象は、これに尽きる。ガワだけを遂行しようとしているが、中身が杜撰なタイプやな。しかし、肝心のお味のほうは如何か知ら。

 

絶妙に微妙

 

和食のメインは魚である。白メシに魚の照り焼きが同包されているが、「白メシを白いままでは喰わせてもらえない」パターンのヤツである。さらに、魚の下にはキャベツの煮たヤツが敷いてある。魚にキャベツを付け合せるんかい!うーむ、「白メシの白を奪うぐちゃぐちゃ攻撃」と「妙すぎる付け合せ攻撃」は、えげれすの技の定番だけど、マレーシアさんも同じ技を会得しているのか?オレはまだ、えげれすに到着してはいないぞ?…と、思ったけど、よくよく考えたら、この国もまた、シンガポールさんと同じく、「えげれすテシタ」だったな。忘れていた、この感じ。ラスボスに出会う前に、テシタが師匠からの伝承の技をちょこちょこ繰り出してきて、なんとなく「慣らされる」この感じ。でも、副菜が、ヒジキの胡麻和え、デザートが大福っていうのは。。。やはりこれは完全に、「日本人は和食食っとけ」パターンっぽいし、非日本人には高すぎるハードルなんじゃないか?

 

能面バーテンオヤジは、ワゴンにパンを積んでいるのにも関わらず、それを薦めることはしない。「紅茶かコーヒー」は一回しか来ない。やはり、全般的に、雑、である。サービスっていうものは、「相手の身になって考える」ということが肝心である。同じテシタでも、シンガポールさんは、そのあたりは、よくやっていた。かたや、マレーシアさんは、どうもそこのところが、一歩も二歩も、足りない。痒いところに手が届かない。
 
モニターの現在地システムを見てみる。しかしこれも、一昔前の仕様である。カラオケ入れたらレーザーディスクだった、的な、「場末のスナック」感がある。しかし、その中に一つ、あまり見たことない表示を発見した。方位と、二都市までの距離が出ている。これはあんまり見たことないぞ。

 
映画を観た後、さらにいろいろ弄ってみると、「映画」「TV」「音楽」などの並びに「read」というのがあった。試しに押してみると、「インタラクティブコーラン」とあった。なるほど!そこで閃いた。さっきの方位画面の、二都市の一つは、必ずメッカだったんだが、そうか、そういうことなのか!これはなかなかのヤツだ。

 
しかし、腑には落ちたものの、新たな疑問が生じた。ラマダンの時の機内食ってどうなるんだ?彼らが祈っている横で、非ムスリム客はガツガツ喰うのか?喰って良いのか??それってアリなのか?

 

さて、クアラルンプール国際空港(KLIA)に無事到着した。しかし、マレーシアさんの「雑さ」は、機内だけのものではなかった。やはり国際線フライトの「空間」は、その国を写す鏡なんだねえ。そこにはすべてのエッセンスが集約されているんだねえ。

 
途上国にありがちな、「入管の無秩序」が、そこに展開されていた。審査ゲートはまずまずの数が開いているのに、列は遅々として進まない。普通は「ここで待て」ラインがある。入国者たちはそこで一旦、一列で並び、空いたゲートへ順次進むのが一般的であり、「秩序」である。しかし、マレーシアさんの入管では、列がオソロシク無秩序である。そもそも並ぶ列が、最初からいくつかある。各列は「複数のゲート」に繋がっているが、それぞれが繋がるゲートの数は、各列ごとに違うっぽい。さらに、各列の先端が混線している。行列につく時点で各自の「目指すゲートが確定された」のにも関わらず、先端の混線により、先程の「確定」がチャラになっているっぽい。また、通常は、前の人が審査を受けているときに、次の人が至近に詰めることは許されないが、マレーシアさんでは、「ラーメン屋の行列か」っていうくらいに、次の人がグイグイ詰め寄っている。・・・要するに、行列がカオスである。また、審査では、指紋の登録や顔写真の撮影などもあるらしく、一人にかかる所要時間がハンパなく長い。審査官の作業も、サクサクという感じではない。この感じ、これぞまさに「途上国」のヤツである(ケニア入国の時に似たような体験をしたが、あちらは幸いに、午前三時とかだったので、客の絶対数が少なくて助かった)。僕は結局45分くらい並び、やっと順番がきた。

 
実は下調べをしていて、マレーシアさんでは「自動ゲート」という、画期的システムの運用が始まったとあった。これだと奇跡的な速さで入国審査が終わるらしい。ただし、初回入国時だけは、有人ゲートに並び、そこで「登録」をしなければならない、とあった。僕は帰りにも入国するので、この「登録」は必須である。だからこそ、45分も並んだ訳だ。さて、ようやく、有人ゲートに辿り着いたので、審査官のおっちゃんに「登録」をお願いした。すると・・・なんということでしょう!

 
「あ、そしたら、ここからぐるっと周って、53番54番ゲートに行ってね」

 
おっちゃんよ!軽く言うんじゃないよ!オレの45分はどうなる?初回はこっちじゃなかったのかよ?あっちで登録して、またこっちに並ぶのかよ!

 
憤然としておっちゃんに詰め寄ると、おっちゃんはにこやかに、

 
「いや、また並ぶ必要はありません」
「本当ですか?こっちに帰って来なくて良いんですか?」
「戻る必要はありません」

 
じゃあ、しょうがない。しかしほんまか?「あっち」は登録「だけ」であり、「入国審査」は「こっち」なんじゃないの?海外では信用したヤツが負ける。しかし、そう言われた以上、「あっち」には行かねばならぬ。下調べでは、初回登録は有人ゲートであり、「53」「54」ゲートで入国できるのは二度目以降である、と出ていたのだ。しかし登録も「あっち」と言われれば、行かざるを得ない。負けても、これは、仕方ない。

 

「53」「54」ゲートへの列はスカスカ、誰も並んでいなかった。よくわからぬままにゲートに行くと、30秒で「登録」は済み、審査官のおねえちゃんは「さあどうぞ」と、目線で自動ゲートを指す。ん?これで終わり?しかし、やってみると、・・・あっさり入れた!所要時間10秒。

 
いやいやいやいや。表示せえよ。案内せえよ。そして、「登録」だけじゃなく、「登録した後そのまま入国」できるんなら、そう言わんかい。「あっち」に凄まじい行列を作っている多くの人たちも、「こっち」からあっさり入国できるやん?

 

全てが雑、で、表示がなさすぎ

 

クアラルンプール市内までは「KLIAエキスプレス」なる特急に乗る。片道¥1500とラピート並みのカネをとるが、車内に充電設備はないし、WiFiも弱すぎて使えない。シートは固く、リクライニングもテーブルもない。これもまた、「昭和の旅館」系の設備である。30分ほどで「KL Sentral」駅に到着した。

 

駅に隣接の巨大ショッピングモール「NU Sentral」で、マレーシア版Suica的なもの(Touch n Goカード)を買うことにする。このカード、絶大なる使い勝手の良さらしく、必携らしい。ただし、最初の一歩、カードの「購入」が、ことのほか難しいらしい。「チャージ」ができる機械はあちこちにあるらしいんだが、「購入」が至難らしい。下調べをしても、空港ではなかなか買えない。各駅でもなかなか買えない。しかも、クレカ決済できるとなると、この巨大ショッピングモールのショップが、ほぼ唯一の選択肢らしい。

 
いや、雑すぎるやろ
買わんで、どうやって使うのよ
市民は、そら、「持っていて当然」かもしらんが、タビビトは「購入」しなきゃならんのよ

 
さて、くだんのショッピングモールだが、探せど探せど、「フロアーマップ」「ショップリスト」の案内表示がない。ミテクレは立派なんだが、何階に何があるのか、さっぱりわからん。またしても、「ガワは壮麗、ナカミは雑」である。「使う人の状況」「お客様目線」からの配慮がまるでない。いや地元民はさ、アタリマエの日常スポットでさ、今更探さなくても、何が何処にあるのか、わかっているのかもしれないけどさ。

 
タビビトは初見なんですよ

 
なんなんだ、この、行き届かない感じ。片手間な感じ。あと一歩、足りない感じ。痒いところにさっぱり手が届かない感じ。背中が痒くて孫の手を出してきたけど、「手」の先が丸まっていなくて、さっぱり掻けない、みたいな感じ。えげれすも「そこじゃない感」はいっぱいあるけど、こと、「お客さま目線」に関しては、適度に、的確に、遺漏なく、やってくれるんだよなあ。そしてシンガポールさんも、そうだったよなあ。…同じテシタなのに、なんでだ⁈

 

その他、「モールから駅はどっちの方向なのか、表示さっぱり無し」「駅の切符売り場から自動改札っぽいところまで二筋の通路があるが、その一つを進んだ先には、〈出る〉改札しかない」「改札付近に、出口案内や駅前の地図が無い」「街にも、ストリート名や街区名の表示無し」と、とにかくこの国には、「表示」がさっぱりない。さながら、「丸くなっていない孫の手」が林立しているかの如し。

 

兎にも角にも、ホテルに着いた。さてメシだ。ホテルの前にはズラッと屋台が並んでいる。この国の「食」の感じがまだ掴めていないし、写真メニューも無さそうだし、屋台はちとハードルが高そうなので、今宵は店舗型レストランにする。

 

マレーシアは複合民族国家だから、レストランも多種多様らしい。にいちゃんに招かれて入ったのは「なんとかダマスカス」という名前である。シリア料理なのか?シリア料理がどういうものなのかもさっぱりわからんが、ラムの煮込が載っているカレー的な飯を頼む。

 

Lamb Mansaf(RM38≒¥1140)しかし一人にはデカすぎた

 

これは当たりだった。めちゃくちゃ美味いやないか!日本では絶対に出てこない味だわ。しかも、マレーシアは、物価は安いらしい。スイカジュースも入れて¥1000ほどである。ただ、この店はがっつりイスラム系なので、アルコール提供は無し。この国では、何処で、どうやって、酒を呑むか。これが喫緊の課題やな。ただし、そこらにあるコンビニ「KK」では、24時間、ビールを買えるらしい。レギュラー缶でだいたい¥250-350くらい。

 

さて、明日は、早朝4:30にチェックアウトしなければならない。