えげれす通信、再び

20年ぶりに復活しました

【旧「えげれす通信」より。紹介文】

1998年9月6日。僕が、ロンドンの街に降り立った日です。嘗て、一度だけ、旅行で来たことはあるとはいえ、旅行と住むのとでは、勝手が違う。まだ右も左もわからない僕は、漸く大学のメールアドレスを使えるようになったのをきっけに、日本語メールの送受信方法について、試行錯誤を繰り返しました。その頃はまだ、寮に電話線がなく、自分のPCで打ち込んだメールをFDに落として、大学のPCでニフティのアドレス経由で送受信をするという、恐ろしく面倒な方法をとっていました。そんな状況の中で、記念すべき第一号の「通信」が発信されたのは、1998年9月22日のこと。出発から約二週間後のことでありました。この「通信」は、後に恒例化し、はたまたHP化されるなどとは、夢にも思ってはいなかったため、ごく近しい人々への近況報告メールと言う形をとりました。以後、不定期に、メールにて、近況報告を兼ねたエッセイとして、英国のことを書き綴るというスタイルが確立していきました。

 僕自身が、人類学という学問を修めている関係上、はたまたそういう公的な部分を抜きにしても、文化比較というものが元来好きな性分なので、当初より、英国の独特な文化・思想には、興味をもっておりました。但し、ここが人類学では重要な点なのですが、当該文化に埋没してしまう観察眼はタブーです。あくまでも対象をobjectifyする姿勢-これは実際には不可能なことではありますが-を保とうとしなければならない。熱くなることなく、冷静に、淡々と「観察」し、「叙述」しなければならない。そこに主体性の問題が貫入するのは、観察者が人間であるために不可避なのですが、この「姿勢」だけは、常に意識的に保持しなければならない。そこで、時には-これは学術論文ではないので脚色して-感情移入が見られる書き方をすることはありますが、基本的な姿勢としては、価値判断は入れないつもりでいます。勿論、僕は英国が好きなのですが。

 日本との対比、日本人としての目で見た英国文化、英国から見た日本、これらの観点から、最終的には英国というものを知って欲しいという僕の想いから書き始めた、この「えげれす通信」には、1999年になったところから、ナンバリングをつけ始めました。以前のもの(Ver.0.1-0.9)には、Verはついていませんでした。然も、この初期のものは、上述のような面倒な手段によって送信されていたため、正確な発信日、送信者、等々が記録として残っておりません。原稿自体も、僕の手元には残っていない始末。これは、幸い、送信者の一人から再送信して貰って、揃えることができたのですが。それで、この「第二期」とも言うべき、Ver.01からの時期には、不定期ながら、適当な間隔をおいて、発信することができました。幸い、各方面から好評を頂きまして、発信する宛先も増えていきました。然し、この時期も、まだ、基本的には「近しい日本在住者への近況報告メール」という性格を踏襲しております。この時期を「第二期」とすると、「第三期」は、送信者に、英国在住の友人たちが加わった時期だと言えるかもしれません。既述のように、このエッセイは、英国の文化を伝えるもの。英国在住の人間にとってはある意味当然の内容も含まれている、或いは、彼ら自身がネタとなって登場しているため本人たちには読まれると都合が悪い、等々の理由から、日本にしか発信してなかったのですが、ある時、注釈付きで送ったところ、反応が悪くなかったので、以来内容によっては送ることにしたわけです。

 ある時、現在の管理人を依頼しているひでわん氏のお宅にお邪魔した際、HP作りなど朝飯前の氏は、即座にタイトルとHPを作ってしまいました。実は、これ以前、「通信」に関するHPは、立ち消えになったものも含めて、二件ありました。或るHPには、現在でも、途中までのバックナンバーが掲載されております。また、HP化の代行を申し出て頂いた方もおりました。その方の御多忙につき、この計画は見送られた形になりましたが、僕は当時、それほどHP化には拘ってはおりませんでした。HP化になれば、主体的に見に来ない限り、読んでもらえなくなる。個人的な結びつきを強く感じることのできるメールの形に拘りたい部分もありました。然し、ひでわん氏の協力の下、無事立ち上げることのできたこのHPは、今では、成功の部類に入るのではないかと自負しております。

 今後ますます、英国の興味深い点を書いていきたいと思うので、末永く見守ってあげて下さい。御意見・御感想は、ご遠慮なくどうぞ。特に、新作アップ時は、感想を知りたいものです。気軽にBBSへ、または筆者宛にメールを頂ければ幸いに存じます。

2000年4月9日 玲拝
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