えげれす通信、再び

20年ぶりに復活しました

【新】えげれす通信2024_vol.02:えげれす入国編 (12/02/2024)

昨夜、デポジットのRM50を取られた時、ホテルのフロントのオヤジが言った。

 

「これは明日チェックアウトの時に返しますよ」
「ちなみに明日は朝早く、4:30にはチェックアウトしなきゃならないんだけど、起きてる?」
「大丈夫!」

 

海外で「大丈夫」を信用する奴は負けるのだ。明日は、近くのモノレール線の始発は遅いので、「KTM Port Klang Line」と「KTM Seremban Line」(どちらもKL Sentralまで行く)が通るPutra駅まで1.8km歩いて、5:18の電車に乗らねばならない。

 

ちなみに、クアラルンプールの市内鉄道は、KTM、MRT、LRT、Monorail、BRT、という種別のものがある。全部まとめた路線図もある。この路線図自体は、各線に番号が振られていてわかりやすいのだが、実際の駅には路線番号が表示されておらず、慣れないマレー語の綴りを何度も何度も確認しながら、路線図の路線番号と、実際に乗る路線との照合をしなければならない。

 

さて、オヤジの「大丈夫!」に半信半疑だった僕は、4時前に起きて準備をしていた。ホテルから駅まで1.8km、発車時刻が5:18、迷いそうもない道だけど、何かあるかもしれない。ていうか、そもそも、オヤジが起きていない事態を想定しなければいけない。万が一の場合には、RM50(だいたい¥1500)を捨てる覚悟も必要だ。もろもろ考えて、4:30にフロントに行けば良いだろう。。。そう考えていたら、なんと4:00に、オヤジからモーニングコールがきた。マジか!そんな律儀なオヤジ、見たことないぞ。慌てて「あ、10分で降りますね」と言ってしまい、フロントに降りたのは4:15過ぎだったので、まずい、5分遅れた!と、まるで日本のような気の遣い方をしてしまったやないか。

 

Putra駅には駅員など誰もおらず、ホームレスなのか、ただの酔っ払いなのか、どちらとも判別不能なオヤジが寝そべっている。僕は、この、「5:18」という発車時刻も、ある意味、信用していなかった。天下のGoogle先生にしても、途上国のカオスは、その上を行くことがある。そこで、駅に掲示されていた時刻表を見た。すると確かに、「KTM Port Klang Line」と「KTM Seremban Line」のどちらだったか忘れたが、そのどちらかの時刻表には、確かに、5:18の電車が記されている。しかし、この時刻表が「紙」であること、「平日/休日」に分かれていること、「期間的な注釈があること」、などから判断すると、やはり、一抹の不安がある。ほんまに、来るんか?

 

さらに混乱させるのは、行先である「KL Sentral」方面は、通常は2番線から出るが、1番線から出るのもあるよ、と書いてある件である。「出るのも」ってなんだよ?どれが例外なんだ??そして、「KTM Port Klang Line」と「KTM Seremban Line」の、どちらにそれが適用されるのだ?しかし、まあ、とりあえず、改札を入る。

 

ホームでもう一回確認しよう、と思っていたら、その、紙の時刻表が、ホームには一つもないではないか!「次の電車は・・・」的な案内や、電光掲示なんてものも皆無である。ホームは島式ではなく、対面式、ホーム間移動は跨線橋を階段で行かねばならぬ。間違ったホームで待っていたら、間に合うかどうか、微妙である。

 

ただし、1番線発車は「例外」的なものだと書いてあったし、地元人らしき客が、さくっと2番線に移動したので、まあ、2が正解だろうと思い、そちらへ行く。

 

5:18。来ない。まあ、遅れることはあるよね。

 

5:25。来ない。いや、これ、あかんやつ?

 

Google先生によると、5:18の次は5:32とある。さて、それは、「KTM Port Klang Line」と「KTM Seremban Line」のどちらだったか?確認しようにも、時刻表はホームにはない。ただし、路線ごとではなく、「KL Sentral方面」と、ひとくくりで書いてあったよな、確か。だから、やはり2番線で良いのかな?・・・ほどなくすると、電車が無事にやってきた。5:32。ぴったりだ。ていうか、5:18は何だったの?そして・・・表示しろよ!

 

ヒースロー行き機材は、昨日の成田からのものとは全然違った。機材はA350-900で、3-3-3のシートだが、内装は、「平成のイケてるスナック」になっていた(笑)。シートも新しく、モニターも新しい。食事も美味かったし、パンも配ったぞ。パーサー女性陣は相変わらずの、「場末スナック感」だが、サービスとか気づきのレベルが上がっていた。…なんなん?成田はナメられているわけ?メシワゴンのスッチーにワインを頼んだら、そこには積んでなかったが、「後で持ってきますね」という対応である。なかなかやるやん。ただ、本当に持ってくるかな?とにかく「信用したヤツ」は「負け」るのだ。

 

果てしなく長いフライト、13時間を経て、一年ぶりのヒースローへ!長時間だったが、まずまず快適でしたよ、マレーシアさん。久しぶりの「チャーリーとチョコレート工場」とか見て、なかなか楽しかったですよ、マレーシアさん。・・・ただし、ワインは、持ってこなかったが。

 

ヒースローの入国は、これは去年驚いたことだが、以前とは比べられないほどスムーズである。以前は、有人で、しかも、えげれす入管は、世界でも指折りの難易度とされている。日本人の観光ビザでひっかかることはほとんどないにしても、そこそこの緊張感はあった。マレーシアさん的な無秩序や、時間の浪費はないものの、それなりの行列はあった。しかし今では、ゲートは完全に自動化されているし、案内や誘導も、これはさすがのえげれすである。僅か1分で入国完了。いつものピカデリー線の駅に向かう。

 

しかーし。さあ、さっそくかましてきたぞ。さすがにラスボス、堂々の技だ。これでなくっちゃ、えげれすじゃないよ。

 

「planned」の文字が、「どうだ!」感を醸し出す

 

「計画運休」で国中が揺れるニッポン。かたや、世界最大の空港に直結する地下鉄線を、なかなかの区間で、なかなかの期間で、あっさり止めちゃうえげれす。

 

「備えあれば憂いなし」。良い言葉である。人生の教訓としたい言葉である。平時の心構えとして、緊急時の心構えとして、重要な事項である。・・・しかし、ほんまにそうか?

 

今回、マレーシアさんを訪問するにあたって、僕は、かなり隅々まで、下調べをした。想定問答を重ね、盤石の「備え」を整えた。・・・にもかかわらず、現実には、マレーシアさんの「表示なし攻撃」に翻弄され、なかなかの大変さを味わった。「備え」あっても、「憂いダラケ」だった。

 

他方、ピカデリーさんのなかなかの攻撃には、僕は1mmもたじろがなかった。「運休」の表示を見た時にも、「ああ、はいはい」くらいのリアクションであり、余裕綽々であった。「備え」なんて何もないが、「憂い」の方もさっぱりである。後から来た旅行者に「あ、運休みたいですよ」と親切に教えてあげたら、彼は、「げ!マジですか。そんな・・・」と絶句している。僕はそんな彼を、生暖かく見守りながら、彼を置き去りにした。聞かれたら・・・教えてあげるよ。でもね、この国ではね、「生き永らえる道」はね、自力で探していかないといけないんだよ。そしてね、「備え」るかどうかにかかわらず、「憂いトラップ」は、その辺の石ころみたいに、そこら中にあるんだよ。「備え」ようがどうしようが、チョコレートの沼にはまったり、ブルーベリーみたいに青くなったり、ゴミ溜めに落っこちたり、二次元の世界に転送されたりするトラップは、そこら中にゴロゴロあるのさ。

 

エリザベス線で、ホルボーンまで出て、そこからピカデリー線でマナーハウス駅に行く。今回の倫敦の宿は、マナーハウス駅、あるいは、フィンズベリーパーク駅近くにある。この辺りは、あまり知らない。

 

さてえげれす初メシは、スーパー総菜にしようと思っていた。しかしホテルの近辺に大手スーパーがない。少し歩けばあるので歩こうかと思ったら、マナーハウス駅周辺に、オフライセンスがある。覗いてみたら、意外と品数が多いので、ここで調達することにした。そして隣にフィッシュアンドチップス屋があったので、久々にcodを攻めることにしよう。

 

しかし、「cod and chips」と頼むのが通常なのだが、今日はチップスはいらないと思って、codだけ注文すると、こちらの発音が悪かったのか、それとも、この世にそんな奴はおらんやろ、チップス喰わないやつなんて、と思われたのか、おそらく後者だろうが(笑)、なぜか牛肉のパテが二枚挟まれたバーガーが出てきた!中東系の店で、にいちゃんは雑だし、オーダーの確認とかもなく、並んでいるのか待っているのか、客の状態も無秩序で、カオスの中でバーガーが出てきた。でも、まあ、いいか。この国で生きていくためのもう一つの掟は「なるようになる」である。ケセラセラ精神でバーガーを楽しもうじゃないか。

 

旨かったけどさ

 

さて、明日は、あわただしく倫敦を後にし、一路、アバディーンへ。