えげれす通信、再び

20年ぶりに復活しました

【旧】えげれす通信_vol19:或る日の午後 (01/05/1999)

おひさしぶりでございます。ほぼ一ヶ月ぶりですな。


 
さてさて、こちらえげれすでは、夜は20:30でもまだ明るい。陽気も良くなり、花も結構咲いており、何だか、冬の倫敦しか知らない僕にとっては、妙な感じである。


 
暖かくて気持ちいいので、昨日も散歩をしてきた。「散歩」が一つの外出目的になるのが、何だかえげれすらしい。


 
事実、日々の催しモノ系の雑誌を見ていると、「Walking Tour」という企画が結構多い。「郊外の村々散歩」とかなら兎も角、「倫敦の街の中」でさえ、散歩の対象になっている。こういうものが存在し、然も、いい大人たちが、ぞろぞろと街中を歩く様は、なかなかに妙なものである。


 
日本では、マンションから大学まで、歩いて僅か10分足らずのところでさえも、原チャやチャリで移動していた僕が、こちらに来たら、何だか歩くのが好きになった。人間わからんもんですな。


 
昨日は、友人がホテルを探したいというので、ケンジントンの南端まで地下鉄で行って、そこから公園の中へと歩き出した。ケンジントン宮殿があるこの公園は、ハイドパークの西隣にある。二つは隣接しており、合わせると、とてつもない広さになる。しかし、南端から、西の端をぐるっと周って、結局歩いて帰ってきてしまった。


 
倫敦には、行政区として、独自の呼称「borough」というものがある。僕の住むラッセルスクエアは、「カムデン」というボローなのだが、昨日のケンジントンは「ケンジントンチェルシー」というボローにある。ここはなかなかに、というか、相当に、ハイソな地域である。そして、途中、「ウエストミンスター」というボローを通過したから、合計3つ分も、行政区を歩きとおしたことになる。


 
然し、えげれす人の日光浴好きは、相当なものですな。昨日通ったいくつかの公園では、大勢のえげれす人たちが、芝生に寝そべって、眠ったり、本を読んだり、いちゃついたり、とにかくダラダラと過ごしている。貴重な日光を、少しも漏らすまい、といった決意がみてとれる。


 
そういや、僕がヴァヌアツに行った際、エクスカーションツアーで一緒になったスコットランド人がいた。その日はかなり寒く、海で泳ぐのには勇気がいる程であったので、僕は、せっかくの南国ビーチだけど、泳ぐのはやめにした。しかし彼は、勇ましく裸になって、曰く、


 
「泳げるときには、泳いどかんと!」


 
まぁ、太陽は貴重なんでしょう(笑)。


 
公園の広場でワカモノ達が繰り広げている遊びは、ダントツがフットボールラグビーをやる人はいなかった。クリケットもいなかった。あとは、フリスビーかな。フリスビーって、アメリカのもんだと思うんだけど、嫌悪感はないのかな?


 
そういえば全然関係ないけど、痛烈なジョークを見つけた。とある新聞のコラムから。


 
えげれす人が初めてヨーロッパ大陸諸国を旅行すると大変な感銘を受けることになる。テレビでは、マンチェスターUTDの試合が見られるし、レストランのウェイターは英語を話すし、英国風パブでは、エールやビターが飲めるのだから、本当に素晴らしい。
(ちなみに一連の文章は、「ウェイターが英語を話す」という部分を除けば、アメリカ旅行の場合にも当てはまる)


 
黒いよー、黒すぎるよー。


 
で、公園の遊びだけど、日本では当然ありそうな、バトミントンとか野球とかは、矢張り見られなかった。野球については、やろうとしたところで、恐らく用具が手に入らないんだろうな。


 
そんなこんなで、まだ燦燦と太陽が照っている中、晩飯に間に合う様に寮に着いたのが18:30過ぎ。歩いたのは、ハイドパークから、Oxford St.をひたすら東に、という経路だったのだが、帰ってテレビをつけて驚いた。


 
先週、先々週と、連続して起きた「釘爆弾」(英語では「nail bomb」というらしい)が、遂に、最大規模で、倫敦で起こってしまった。然も、時間と場所は、我々の経路ともろに被っていた。


 
現場となったゲイパブは、我々が中華街に行ったり、日本食材を買いに行ったりするとき、頻繁に歩く道にある。爆発時間は18:37だというから、昨日もし、「一寸中華街に行っとこか」ということになっていたとすれば、かなりビンゴな状況だった。


 
日本ではどの程度の報じられ方をしているのかわからないけど、こちらでは、特番が組まれたりして、なかなか深刻である。昨日は、爆発後に、Ambulanceのヘリが、トラファルガー広場に着陸したり、あちこちで救急車が走りまわったりと、凄かった。


 
然し、まさか、倫敦中心部でこんなことが起こるとはねぇ。流石に、ちとびっくりしたな。最近、物騒だからねぇ。BBCのキャスターも射殺されたりするし。


 
というわけで、何だかものものしい倫敦から、久々の通信でした。

 

 

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【2023年からの振り返り】

すっかり忘れていたけど、こんなこともあったなあ。その後、バスで爆弾が爆発したりもしたし、なかなか物騒な状況でしたな。このゲイパブは、先日もその前を通りました。