えげれす通信、再び

20年ぶりに復活しました

【旧】えげれす通信_vol11:えげれすのTV (17/01/1999)

昨日は、我が家で鍋をした。アンコウと鮭の鍋をしたんだけど、結構ちゃんとした、正しいニッポンの鍋が出来て非常に嬉しかった。日本からわざわざグリルパンを持ってきた甲斐があったというもの。しかも、美少年と久保田を買ってきて(各3500円位@4合瓶)、残りで雑炊もしたし、完璧な「ニッポンの晩飯」が再現できた。
 

 
先日、一人の友人と共に、「果て研」を旗揚げした。参加資格は、「果て」と聞くとむずむずする、あるいは、「果て」を制覇することに生き甲斐を感じる、等。その友人は先日、ユーラシアの果てであるロカ岬に行って来たし、僕はスコットランドの北の果てと、イングランドの西の果てを極めている。その場にいた3人が、さっそく体験入部を表明したので、とりあえず近々、ドーバーイングランドの東果て辺りで、新歓合宿をはることに決定。

 
 
あーあ、また一週間が始まるな。先週は、社会復帰するまでの助走期間だと自分で決めていたからさっぱり勉強しなかったけど、愈々今週あたりからは、論文を書き始めなければならんなぁ。厭だ厭だ。

 

現在、アクアスキュータムのコートを買おうかどうしようか、非常に迷っている。支給を止めていた日本育英会奨学金を復活させたので、これまでよりは多少裕福な生活が送れるようになった。大阪時代と違って、飲みに行くこともあまりないから、基本的に金はそんなに減らない。それで、気がおっきくなって、昨日は、セールで半額になっている、エジンバラクリスタルのデキャンターを買ってしまった。
 


アクアスキュータムは、僕の昔からの憧れである。折角えげれすに来たんだから、矢張り、本場の奴を買ってみたい。ただ、僕が長年探していたチェスターコートの黒がなくて、ダークネイビーとダークブラウンしかない。そのダークブラウンは、襟がベルベッドで、めちゃめちゃいい肌触りである。他には、通常の僕は、絶対買わなそうな柄がある。「通常ではないえげれすにいるので」、逆に買ってみようかな、とも思う。
 


さて、先ほど、ここのところ妙にハマっているテレビ番組を見ていたら、なんと笑瓶が映った。見間違いかと思ってよく見たら、やはりそうだった。
 


その番組は、「Tarrant On TV」(Tarrantは人名)というものである。各国の、おかしい映像や番組のシーンを集めるという、至極単純、且つ、わかりやすい代物である。
 


最初は、アメリカだかのゴシップ番組である。「私はあの彼と寝た」という女性が、その彼の彼女の前に現れて、二人がそれぞれの言い分を言う。そして、容易に想像される展開、すなわち、激昂したオンナが相手のオンナにに殴りかかる、みたいな展開が訪れる。ケリが相手の下腹部に本当にヒットしたり、ツキが顎下に決まったりと、なんというか、実にアメリカらしい、くだらない内容である。
 


次は、イタリアだかの一発芸ショーであり、これもわかりやすい、「ビックリ人間」系である。おっちゃんが出てきて、自分で自分の鼻の穴にドリルを突き刺す。電動ドリルがガンガンに回ってるのに、そいつを自分の鼻の穴深くに入れていく。イタリア人もびっくりだ。
 


スウェーデンの、これも一発芸もの。マスクで顔を隠したオトコが、会場のテーブルに仰向けに横たわる。次に足を上げて、自分の頭の方に両足を持ってくる。つまり、ケツを突き出す。アシスタントが、何だか白い粉を、彼のケツに振りかける。奴は、放屁をするんだけど、それで、「Smoke on the Water」の曲を奏でるのである。ちゃんとコイてることを示すための白い粉が、時々宙に、まるで粉雪のように舞いあがる。アシスタントは、奴の「音」を拾うためのマイクを、奴の音源に向けつづけなければならない。北欧ってもっとオジョウヒンな国かと思っていた。
 


次はどこだかのCM。若いナイスガイが、ガールフレンドの家の食事に招待される。彼は何だか咳き込んでいるんだけど、気持ち良く食卓に迎えられる。しかし、彼は更に咳がひどくなり、みんなに「どうしたの?」「大丈夫?」って心配される。そのうち彼は、もうしゃべれないくらいの咳になってきた。最後のでかい咳を一発したところ、咳とともに、血を滴らせた肝臓っぽい質感の内蔵がまるごと口から出てきて、それが食卓の上に乗っかった。・・・そして、猫がその「肝臓」を、くわえて持って行く。・・・何のCMなんだ、これ。どこに重心があるんだ?猫まっしぐら、カルカン(腎臓味)、とかならシュールすぎるぞ。
 


そんな、面白おかしいシーンに続いて、笑瓶が登場した。僕は記憶にない下品系のバラエティ番組で、清水圭と一緒に出てきた。水着を着たおねぇちゃんたちが、ガラス板の上で腕立てふせをする。それを、下からカメラで撮る、という、いかにも日本の下品番組の奴だった。笑瓶は、えげれすで自分の映像が流れていようとはよもや知らないだろう。
 


僕の部屋では、というか、たぶん倫敦ではどこでも、テレビの電波が弱い。アンテナ線がある人や、ケーブルテレビに入っている人を除けば、多くの人間は、テレビを満足に見ることができない。ウソかと思うような、昭和の室内アンテナを立てなければ見られないし、立てたところで完璧に見られるわけでもない。そしてその中でも、調子がいいチャンネルと駄目なチャンネルとがある。
 


えげれすのTVチャンネルは5つ。BBC1、BBC2、ITV、チャンネル4、チャンネル5。このうち、僕の部屋で絶好調なのはITVで、次がBBC1である。最悪なのが4で、時々調子がドラスティックに良くなるのが5。
 


このところ、ITVでやっているクイズ番組「Who wants to be a Millionaire?」にハマっている。これまた、上のTarrant氏が司会の番組である。クイズの問題は、とても単純な常識を問うものであり、しかも、ごくごく簡単なものである。たぶん、簡単なのではないかと思う。少なくともえげれす人なら誰でも知っているでしょ、というレベルのものだと思う。ヒネリとかは一切なさそうである。
 


一問正解する毎に賞金が倍になる。倍、倍、そしてまた倍。実に単純、しかし、際限がない。なさすぎるよ。止まらないんだよ。どこまで行くんだよ。
 


先日見ていたら、回答者は、何だか労働者階級ふうのおっちゃんであった。おっちゃんはサクサクと、かなり正解を重ねていった。正解を重ねるたび、それがルールだからそれはそうなんだけど、賞金がサクサクと倍になっていく。倍、倍、そしてまた倍。おっちゃんは、なんと£125,000の賞金を手にして帰っていった。
 

2500万円!!
 


なんなんだ、このクイズ番組。難問奇問をクリアしてようやく手にするならまだしも、早押しのスキルを磨きに磨いてようやく手にするならまだしも、難しいルールを克服してようやく手にするならまだしも、なんでこんな、簡単な、スキルの要らぬ、単純なクイズ番組で、サクッと2500万円が手に入るんだよ。
 


毎回の出場者は大体3人。この日は3人で、合計4000万円近くが獲得された。
 


スポーツ中継は、我々、ヒアリングに難のある人間でも、その内容がある程度わかるので、お気に入りである。そして、フットボールラグビー中継は当然、頻繁にあるが、この国のスポーツ中継のメジャーどころは他にもある。
 


スヌーカー。ビリヤードの一種だけど、台は大きく、穴(ポケット)がない。我々になじみのナインボールとは、当然ルールも異なるが、えげれすでは、これが超メジャースポーツである。TV中継もよくやっている。中継では、ひたすら、ビリヤード台が画面に映される。ルールは異なれど、ビリヤードはビリヤードなので、時間は当然、どんより流れる。これを、ダイジェストではなく、実況中継するわけである。まったり感が半端ない。
 


競馬。うむ。
 


クリケット。何度も見たが、相変わらず、ルールがさっぱりわからない。でも、一度、見に行こうとは思っている。
 


ボーリング。野原でやる奴で、我々の「ボーリング」とは全く違う代物である。カーリングみたい。これも、時間が、まったりと流れる。
 


ダーツ。「スポーツ」なのか?と思うけど、スポーツらしい。中継するべきものなのか?と思うけど、するべきものらしい。結構頻繁に、実況中継をやっている。この前、とても大きな大会の中継があった。観客がいっぱいいるのに驚く。彼らは固唾をのんで一つの的を見守っている。クライマックスのところで、プレーヤーがアツいひと投げを決めると、みんな総立ちで驚喜乱舞する。抱き合って喜ぶ奴、泣き出す奴、等々。プレイヤーは、タトゥーだらけのかなりイカツい風貌だったりして、まぁ何となく察する部分はあるんだけど、恐らくは賭けの対象なんだろうな。あと、えげれすは階級社会なのだが、スポーツもまた、「やる人」「見る人」ともに、階級に分かれているらしい。当然、ダーツなどは、推して知るべしというところ。ちなみにスヌーカーは「紳士のスポーツ」とのことです。
 


それでは、この辺で。

 

-----------------
 
【2023年からの振り返り】
 
懐かしいねえ。「クイズミリオネア」は、日本でも流行ったよね?これの原形が「Who wants to be a Millionaire?」なんですが、この話は、またあとで出てくるので、その時に。2023年のえげれすでは、全部地デジになってて、多チャンネルになっておりました。雑音と画面乱れの中、アンテナ動かしながらやっと見ていた時代が懐かしい。

 

ときに、カルカンを調べていたら、「猫用キドニーケア(慢性腎臓病の猫の食事管理を目的とした療法食)」というのを見つけた。これなのか?!これのCMだったのか?

 
スポーツと階級ですが、フットボールは労働者階級、ラグビー中流階級のスポーツです。