えげれす通信、再び

20年ぶりに復活しました

【旧】えげれす通信_vol10:ヨーロッパは広い (14/01/1999)

あけましておめでとうございます。本年もまた、この国より、徒然にいろいろなことを書いたものを送りますので、適当に読み流して下さい。

 

今回は、とりとめのない内容です。

 

さて、わたくし、日本への一時帰国を無事終え、また元の生活を送っているところです。年末に、各地で、一緒に飲んだり、泊めてもらったりした皆さんには、本当にお世話になりました。

 

ここ、倫敦は、丁度、クリスマス休暇明けのバーゲン期間中。思えば、僕が、初めてこの地を踏んだのは、丁度一年前の旅行の時でした。あの時は街のバーゲンを見ながら、あまりの値引率の高さに驚いたものだったなあ。まさか留学するなんて思わなかったなぁ。。。しかし、去年、ここで会った人たち(先生+留学生)が、僕の留学のきっかけの一つになったことは確かです。パブに入って感激し、フィッシュ&チップスに驚愕し、えげれす人の性分に興味をもったものです。それが、今や、ここに住むとはね。。。書いている本人が一番驚いております。

 

さて、バーゲンと言えば、今日、大学が早く終わったので、ちと街を覗いてきた。主なデパート、各ブティック関係、さらにちいちゃな店など、結構歩いた。前から狙っていたデキャンタが半額になっていたので、それを買おうかなと。しかし、もう一つの目的であるコートを見ていたら、アクアスキュータムでいいのがあって、非常に悩んでいるところ。最近なんだか気持ちが乗らないから、買い物をするのはいいと思うんだけど、どこか旅行にも行こうかなと考えていて。資金的に二つは厳しいな。

 

この時期は、結構忙しい。まず、TERM1の終わりに出したエッセイが返ってきて、成績が出るので、一喜一憂する。そして来年度の出願をそろそろしなければならない。大学選びから、フォームの取り寄せ、アカデミックアドバイザーとの面談、論文の指導教官との面談、IELTS(TOEFLみたいなもの)をどうするか、等々、なかなかしんどいので、早くも厭になっているところである。

 

ただし、息抜きは必要なので、早くも今週末、鍋パーティーが企画されている。

 

僕は、日本シリーズで、こちらで喰えないものを中心に連戦連勝してきたので、こちらの悪飯にも、笑顔で対応できる自信がある。

 

これは、日本にいる時に、えげれす残留組に向かって放った、「日本で食べた食べ物リスト」のメール。

 

> このわた、酒盗、雲丹、なまこ、塩辛、岩海苔、ゆりねの卵とじ
> きずし、鰻の肝串、寒鰤の造り、湯豆腐、千枚漬
> ふろふき大根、厚揚げ、牛スジの味噌煮こみ
> 生湯葉の刺身、つみれ汁、しば漬、ニラ玉
> マグロの頬肉の刺身、つぶ貝造り、鰤のカマ焼き
> カニのあら汁、マグロ霜降り肉のしゃぶしゃぶ
> アンコウ鍋、その雑炊、ユッケ、焼肉
> かむくらのラーメン、ブタモダン
> 若布のおひたし、べったら漬、胡瓜の古糠漬
> シイラの肝の塩辛、ボタンエビの踊り
> 塩雲丹、いくら丼、カツ丼、しゃっきりした白飯

 

悶絶必至。

 

今回の小ネタは、KLM機内誌の記事で見つけた「エスニックジョーク」である。

 

EU統合を控えたヨーロッパ各国。歴史的に見て、これら12カ国で、お互い戦わなかった国はないと言われる程、この地域は、大昔より、戦争ばっかりやってきた。それだけに、平和を願う気持ちは相当大きいのだろうが、互いのお国柄を痛烈に皮肉る伝統もまた、宥和を保つ一つの方策として機能してきたのだろう。この感じは、外からの刺激に乏しい日本人にはなかなかわからぬところだが。

 

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「完璧なEuropean」

 

完璧なEuropeanになる為には、

 

フランス人のように、運転をし、
ベルギー人のように、(仕事において)要件に対して応ずる暇を持ち、
フィンランド人のように、おしゃべりで、
ドイツ人のように、ユーモアがあり、
ポルトガル人のように、技術が高く、
スウェーデン人のように、柔軟性に富み、
ルクセンブルク人のように、(名前が)有名になり、
オーストリア人のように、辛抱強く、
イタリア人のように、控えめで、
アイルランド人のように、いつもシラフで、
スペイン人のように、控えめで、
オランダ人のように、気前が良く、
ギリシア人のように、きちんとしていて、
デンマーク人のように、思慮深く、
そして、イギリス人のように料理をしなければならない。

 

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「天国と地獄」

 

天国とは、

 
イギリス人を警官に持ち、
フランス人が料理をし、
スイス人が全てを仕切るところ。

 

地獄とは、
 

ドイツ人を警官に持ち、
イギリス人が料理をし、
ギリシア人が全てを仕切るところ。

 

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僕は、これを機内で読んで、かなり一人でウケていた。特に、最初の、「フランス人」「ドイツ人」「ルクセンブルク人」「イタリア人」「アイルランド人」「スペイン人」「イギリス人」あたりがいいじゃないの。他の国は、あんまりピンと来ない部分もあるけど、これの元ネタは絵付きなので、結構笑える。

 

因みに「フランス人の運転」はある種、有名である。イギリス関連エッセイで有名なリンボウ氏の『ホルムヘッドの謎』に、こんな話がある。

 

彼が、イギリス人の友人と、パリに行ったときのこと。通りを横切ろうとするが、そこは何車線もあり、かつ、恐ろしいスピードで車が走っている。信号、横断歩道など、一切ない。イギリス人の友人曰く、「いいかい。ここはイギリスではなくて、フランスだ。彼らはイギリス人のドライバーのようには停まってくれない。しかし、先天的にラテン系の人々は運転がうまいから心配は無用なのだよ。見よ、いまあちらからあの赤いルノーと黒いシトロエン、青いプジョーなんかが踵を接してこっちへ飛ばしてくるのが見えるね。彼らは、お互いの速度と距離を計りながら、なおかつ我々のことをも視界に捉えてるに違いない。で、これから僕らが歩道を出て車道上に進み出るとすると、彼らは当然それを計算にいれて、互いの距離感を計り直すのだね。そこで、このスピードでこういう車間距離を保ちつつ進めば、どこでどのように我々をかわして安全に通過できるか、ちゃんと刻一刻計算して運転してるに違いない。それゆえ、もし我々が道の途中で逡巡して立ち止まったり、逆戻りしたりすれば、それは直ちに彼らの計算を狂わせる結果となって、却って甚だしい危険を招来するわけだ。そこで我々に課せられた義務は、ひとたび車道上に出たら、振り返らず、恐れず、右顧左眄せずして、堂々と正面を向き、一定の歩幅一定の速度で渡り切るということにつきているのだ」(林望ホルムヘッドの謎』72-73頁)。

 

まったく、腑に落ちる。世界一困難だとされる、凱旋門ラウンドアバウトを通行するのは、えげれす人でも緊張するそうだ。

 

さらに、これとは別に、ポストカードに載っていたジョーク。えげれすのポストカードは、ブラックジョークが効きすぎていて、僕はコレクションしている。

 

絵柄が二つ。

 

“Summer in Britain” 雨に濡れている羊。
“Winter in Britain” 雨に濡れている羊。

 

まったくすばらしい。

というわけで、今年もよろしくどうぞ。

 

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【2023年からの振り返り】

 
この時は、渡英後初めての一時帰国だったので、各地を転戦しました(いや、その後もやってるな)。一日のメシで食うべきものをリストアップし、前後の「飲み」の影響をを考慮してスケジューリングし、漏れのないように精密な計画を立てて臨んでいました。胃袋4つの牛になりたいと、どんだけ思ったか。

 

「一歩踏み出せば、躊躇はしてはならない」は、その後、ベトナムに行ったときに、改めて痛感した。ベトナムの、あの、歩行者、ちゃりんこ、バイク、車、トラック、が乱舞する、カオス以外の何物でもない交差点を横断するには、周囲に「オレは今、渡るのだ」という意思をビシビシ示しながら、一定の速度で、躊躇せずに、渡らなければならない。

 

ちなみに、僕の所蔵ポストカードの中で、もっとも黒い、もっともお気に入りのものは、これです↓。

 

えげれすで列車を待つとこうなるw