えげれす通信、再び

20年ぶりに復活しました

【新】えげれす通信2023_vol01:シンガポール編 (12/02/2023)

長い!

 


本日、2023年2月13日。ただ今、シンガポール航空で、ロンドンヒースローへ向かう機上におります。ルートを見ると、イスファファンの北、バグダッドの東の辺りを、北西に飛行中。今朝9:00にシンガポールチャンギ空港を発ち、二度目のメシを喰ったところです。ここまで6661キロ、7時間35分を飛び、残りは4817キロ、まだあと5時間59分もあります。

 

 


イスファファンって何処の国だっけ?バグダッドイラクだよな。この湖ってカスピ海だっけ?中東の地理は弱いんだよな。ウクライナの関係でシベリア上空を飛べないから、南回りのルートになる訳だが、えげれす行くのにこのルートは初めてだから、なんとなく、時間の流れ方が読めない。いつもは、「いけどもいけどもシベリア上空」だったから、「何処まで行っても、まだ静岡」みたいなもんで、時間の流れ方も何もそもそもあったもんじゃなかったのだが。

 


しかし、15年以上ぶりのえげれすでございます。前回はPhDのガウン(還暦のチャンチャンコちっくなやつ)を着た2007年のCongregation の時だから、めちゃくちゃ久々ですわ。どうやらロンドンもだいぶ変わったようで。それは今晩からのお楽しみでございます。

 


航空券をどれにするか。南回りだと、キャセイシンガポールベトナム、タイ、マレーシア、トルコ。だいたいこの選択肢で、あとは値段で決める訳である。最初はマレーシアにしようと思っていた。クアラルンプール、良いじゃないですか。バンコクかクアラルンプールでしょう!この中じゃ。クアラルンプールは物価が安く、結構良いランクのホテルも驚くほど安く泊まれるってサイトで見たぞ。アジアはほとんど行ったことがなく、同時に食指もあまり動かないワタクシとしては、バンコクとクアラルンプールは、アジアでは珍しくちょい惹かれる場所だった。

 


しかーし、もろもろのタイミングでシンガポールになっちまった。シンガポール…ねぇ…。オレの興味と一番真逆かもしれん。ただまあせっかくだし、行きは一泊、帰りは二泊、することにしました。

 


昨日2/12、成田から出発。シンガポール航空は、とにかくシュッとしている。イマドキの飛行機は何処もそうなのかもしれないけど(なにせ国際便は久しぶり)、アプリでオンラインチェックインができるだけでなく、機内食の指定までできちゃう。搭乗すると、スマホとリンクさせて、機内サービスがスマホからできちゃう。機内食は何やらカルビ丼ちっくなやつで、さすがシンガポール航空、メシは美味い。メシは美味いけど、なんだかシュッとしすぎてる。

 

 


成田チャンギはだいたい8時間。東京から大阪へバスで行くくらいやね。割とあっという間にチャンギ到着。

 


まぁ、なんと、豪華絢爛な空港だこと。街並みも、えらく近代的だこと。いちいちシュッとしてるんだよな。いや、悪くはないよ。悪くないけどね。でもねぇ。

 


シンガポールの物価は恐ろしく高い(ただし、国家としてのキャラが立っているというか、例えば公共交通機関の料金とかはめちゃくちゃ安い)。この辺、やはり、えげれす軍団の一味なだけはあるわな。やたら路線網が発達している地下鉄で、やたら高価すぎるホテルへ向かう。地下鉄は完全自動運転だって!シュッとしすぎだろ。

 


ホテルは、口コミでは酷評されていた。なのでどんなところかと心配したけど、全く問題ない。口コミでは、「狭すぎる」(それはそう)、「アレでこの値段は高すぎる」(それもその通り)、「フロントが無愛想」(それは主観)、とあったが、気になっていたのは、

 


「部屋のシャワールームと部屋の段差がなく、水が部屋に流れ込んでビシャビシャ」

 


いったいに「口コミ」というやつは、「何処まで細かいところほじくって書くんだよ」というのが多い。しかも、特に海外の場合には、「ガイコクに何処まで求めるんだよ」とツッコミたくなる「清く正しく美しく」の日本人的書き込みが多くてウンザリする。日本と同じモノを海外に求めるんじゃないよ(日本に求めるのも、それはそれで違うと思うが)。

 


自販機にコイン入れてもブツが出てこない時も慌てちゃいけないんだよ。
信号機が壊れて点いていなくても「まぁそんなこともあるさ(Never mind)」と言って慌てちゃいけないんだよ。
ATMでキャッシュカードが吸い込まれて出てこなくても、後ろに並んでるオッチャンに笑顔で「Eaten」と言って、サクッと立ち去らなきゃならないんだよ。
(すべてえげれすの実例)。

 


海外をなんと心得る。

 


我がホテルは、めちゃくちゃ綺麗。酷評されるところは全くない。受付のにいちゃんも気さくで、全く文句を言うものではない。

 


しかーし、段差はホンモノだった。シャワールームもめちゃくちゃオサレなんだが、段差が全く無い上に、ドアの下が何故か空いてる。シャワールーム内の排水溝までの傾斜もほとんどないので、どう工夫しても、洪水は免れない。

 

 


僕は、ここにきて、ようやく安心した(笑)。全てがやたらシュッとしているシンガポール。全てがなんだか近未来ちっくなシンガポール。全てが例外なく煌びやかなシンガポール

 

 


…しかし、ここはやはり、えげれす軍団の手下だった。軍団の遺伝子は忠実に受け継がれているのだった。

 


シャワーはあるが、すぐにお湯がなくなり水シャワーになる国えげれす。
バスタブはあるが、シャワーの設置はなく、洗えないし流せない国えげれす。
お湯と水の蛇口が別で、熱湯が冷水のどちらかでしか洗えない国えげれす。
懐かしさがこみ上げる。

 


アンタら、やたらと見た目はシュッとしてはるけど、やはり「軍団所属」なんやな。もっとも「親分」の方は、見た目もシュッとしてないけど。

 


よくよく気をつけてみれば、二階建てバスはいるし、「Mind the Gap」の殺し文句もあちらこちらに見るし、出口表記は「Way Out」だし、徐々に「子分感」が滲み出てきたぞ。

 


そんなこんなで、今朝早くホテルを出て、再びチャンギ空港へ。シンガポールからロンドンは13時間のフライトだ。シベリア経由なら日本からヨーロッパはだいたいそのくらいだから、これがまさしく「えげれすへ飛ぶ感覚」ということになるんだけど、ルートが違うので些か違和感がある、という冒頭の話に戻ります。

 


今回のシンガポール航空さんも、やはり、シュッとしてはります。スッチーさんも、まぁ優秀。頼んだことを忘れない。これがね、例えばフィジーとかだと、そうはいかないんだな。やはり常に満足度トップのエアラインですな。

 


メシも美味いね。先程の二度目の飯なんて、シーフードのフォーですよ。揚げた魚がちゃんと2切れもあるし、海老もたくさん入っていて、味付けもとても良い。デザートのチョコレートケーキも、「子分」とは思えぬほど、「親分」の悪いところを受け継がず、甘さ控えめで全く美味い。

 

 


ただ、一度目の飯は、なんというか、ワタクシの6時間後を思い出させてくれるのに十分なほどであった。

 


メニューには、こうある。

 


Veal sausages
Tomato ragout, savoury bread pudding, creamed spinach with mushrooms 

 

 

 


待て待て待て。
書いてないやつがあるぞ。
書いてないけど、いつもそこにいるやつがあるぞ。
書かんでもわかるやろ、的なやつがいるぞ。

 

 

むう。6時間後、オレは彼の国にいる。