えげれす通信、再び

20年ぶりに復活しました

【新】えげれす通信2023_vol07:ロンドン北部バス旅編 (18/02/2023)

ロンドン本格的上陸初日の本日2/18、何から始めようかなぁ。いろいろやりたいこと行きたいところがあるけど、まだまだ先は長い。勿体ない気もする。とりあえず、適当にバスに乗ることにした。

 

ロンドンは、やはり、バスだよねえ。縦横無尽に走りまくるバス網は、実に実に、よくできていて、しかも、地図を含め、「案内」が実にわかりやすい。バス停ってのは、例えば同じ系統でも、「行き」と「帰り」とでは、基本的には車線のトイメンにある。しかし、交差点を曲がる場合はどうなるか?トイメンじゃなくなることもある訳だ。三叉路の場合は?ややこしいよね。そして、えげれすを含めヨーロッパの「道」というやつは、長安以来の「タテタテヨコヨコ」の「直角交差点」に慣れた我々にはさっぱりわからない、

 

気が向いたからここで分岐してみたよ

 

みたいなシロモノである。当然それは、直角ではなく、曲がりに曲がっている。しかもロンドンは鬼のように一方通行が多いので、同じ系統の逆向きバス停がいったいどこにあるのか、まったくのラビリンスになるのである。いわんや、乗り換えようとするバスの停留所、をや。

 

しかし、ロンドンバスさんは、そこを見事に表示してくれる。バス停には、「そのバス停にくる系統番号」が明示され、周辺の関連する系統のバス停が、アルファベットをふられた上で、わかりやすく地図上に示されている。これを見ればサルでもわかるレベルだ。

 

まったく、地下鉄マップといい、この手の仕事は、えげれす、得意だよねえ。地下鉄マップなんて、歴史的に、少しずつ少しずつ、路線と駅が、増えたり減ったりしているのに(駅も路線も結構廃止されている=地下鉄廃駅とかいっぱいある)、その細かい変化を、「地図のテイストを変えずに」、持続的に表しているのは大したもんだ。デザインが変わると、人間の理解度が落ちるでしょう?ナントカいう人が始めた「テイスト」らしいけど(前に博物館で知った)、その「テイスト」を100年だか150年だか以上も変えないってのは、なかなかですよ。

 

さしあたり、パディントンから北に向かうバスに乗る。このテキトーに乗ってもなんとかなる、ってのがロンドンバスの良いところであり(乗り放題だし何処で降りても複数選択肢がある)、だからこそ、かなり面白いのだ。二階の最前部に座れれば文句なし。

 

Edgware Rd。ふむ。アラブやな。
St. John’s Wood。おお、この並木道は?
そして、Kilburn。マジか。

 

St John's Woodの並木道

 

Kilburn駅。ここでよく乗り換えた。

 

ここはかつて、オレが住んでたエリアではないか。この道は、北に向かうA5じゃないか。そして、そういえば、さっきからすれ違う「16」系統は、オレがLSE時代にチャリングクロスに通学していたバスじゃないか。

 

ぎゃあー、懐かしい!

 

そして我がバスは、僕の住んでいたCricklewoodに差し掛かった。なんだか、道が水浸しだけど、家への道は忘れたけど、確かにこの辺、見覚えがあるぞ。

 

ぎゃあー、懐かしい!

 

そしてこのA5は、北上すると、Colindaleを通る。当時、僕は、週に一回、確か水曜日を「Colindaleの日」にしていた。

 

Colindaleに何があるか。僕が留学したのは1998年。その少し前まで、日本のスーパー「ヤオハン」がその地に君臨していたのだ。その後ヤオハンは撤退し、次は多分中国系の店になったのだが、まだ存分に「ヤオハンテイスト」、つまり、「日本テイスト」が残っていた。旭屋書店もあったし、日本酒も買えたし、刺身も売ってた。ピカデリーサーカスの、「ジャパンセンター(通称「ジャパセン」)」の、あのイヤーな雰囲気に塗れることなく、素晴らしき「刺身&日本酒」を入手できるのである(イヤーについては、近日中に多分書くでしょう)。そう、水曜日は僕の「刺身&日本酒」デーだったのである。

 

その時、LSEからどうやってColindaleまで行っていたか。地下鉄のNorthernラインの時もあったけど、バスでも行っていたんだよなあ。すると、だんだんと記憶が蘇ってきた。さっきまでは「16」系統ばかりすれ違っていたけど、今は「32」系統ともすれ違うようになった。そうか。「32」はKilburn始発で、「16」ルートを引き継いで北上して、Colindaleまで行くやつだ。オレは、チャリクロからキルバーンまで戻り、そこで「32」を捕まえて、コリンデールに買い出しに行ってたんだな。

 

僕はコーフンして、「32」に乗り換えた。そして到着。コリンデール。

 

むう。変わり果てている。

 

建物自体が建て替えられているね、これ。

 

ただ、一応、スーパーとフードコートはあるみたい。面影はゼロだけど。というわけで、若干の淋しさを覚えつつ、中に入ってみた。

 

きれいだけど、狭くなったなあ

 

スーパー部門は、かつての広大な迫力は失せ、近代的ではあるものの、面積が小さい。刺身も日本酒も無くなってた。ただ、相変わらずの「Demae Ramen(出前一丁)」の恐ろしき強さと(我々が思う以上に、出前一丁は、海外で活躍している)、今回気づいた、「ハタ鉱泉」のラムネの普及度合いは、なかなかに感動した。ハタは名門だけど、日本ではマイナーでしょう?でも意外と海外で活躍している例は多いんだよね。

 

安定の破壊力。このすさまじいラインナップを見よ。

 

ハタ鉱泉が健闘していた

 

スーパー部門ではアヤシゲな「緑茶」を買った。あまりに甘い飲料しかなく、あとは水しかない。「お茶」が欲しくなるのよ。で、福建省製造の「おーいお茶」ちっくなブツを買って飲む。

 

ぅぉい!甘いじゃねーか。

 

よく見たら、「砂糖入り」「ジャスミン茶風味」「茶は粉です」と、うっすら書いてある。マジか!バッタモンの極みか!

 

さて、フードコートに行ってみる。いわゆる、の、フードコートだな。で、一周してみる。

 

まさに「いわゆる」、のやつ

 

ここまで、えげれすは六日目だ。だんだんと物価がわかってきた。そもそも高いし、昨今はインフレなので、もうね、毎日、大出血なわけですよ。

 

外食だと、酒なしで、一食でだいたい£10-15(¥1600-¥2400)。外食でビールを飲むとだいたい£5(¥800)。店から何らかを買い食いするとだいたい£5-10(¥800-1600)。スーパーで何らかを買うと、サンドイッチが£1.50-4.00(¥240-640)、水の500mlペットボトルは£1.00-1.50(¥160-240)、ちょっとした飲料だと、£2-3(¥320-480)と、めちゃめちゃ高い。そろそろ、食パンにバターという食生活に切り替える頃合いかな。

 

くだんのフードコートも、だいたい何処も、一食、£10-15だな。昼飯に、毎日そんなに出せるのかってことですよ。ただ、逆に、日本がどんだけデフレだったのか、最近いろいろかまびすしいけれども、それを考えざるを得ない。本田圭佑が日本のラーメンのことを「安すぎる」と言ってたけど、あれはやはり正しいのかもしれない。一食¥500ちょいでなんとかなるってのは、ありがたいけど、経済学的には、やはり、いかんよなあ。

 

食う気はなかった。だけど、僕の大好きな「Roast Duck with Soup Noodles」を見つけてしまった。これは、喰わねばならぬ。

 

これよ、これ。

美味い!

 

次はBrent Crossに向かう。どデカいショッピングセンターがバスのインターチェンジになっており、次のバスへ乗り換える。

 

なかなかに壮観だ

 

次のバスはFinsbury Park行き、途中、Hampstead Heathを通る。ここはロンドン北部の丘陵地帯で、見てみたいと前から思っていた。初めて来たけど、ロンドン街区を見下ろす、素敵なところやねえー。すぐ近くにこんなところがあるんやねえ。

 

眼下にロンドンの街衢を見下ろす

 

Finsbury Park到着。ここは、かのアーセナルのスタジアムの近くである。あ、ちなみに、ニューカッスルユナイテッドの本拠地「セントジェームズパーク」も見に行こうと思っていたんだけど、時間がなくて今回はパスでした。さて、この後どうするか。この近所だと、知ってるのはカムデンのマーケット。カムデンでも覗いてみるか。

 

カムデンはねえ、えげれすにやってきたずいぶん初期に散策したところで、いろいろ買った思い出深いところでもある。期待したんだけど、あまりに人が多すぎるし、地下鉄が止まっているらしく、なんだかカオスになってる。そうか、今日は土曜日か。とりあえず今日行くのはやめて、おとなしく帰ることにする。

 

「27」でカムデンからパディントンに帰る。ちなみにこの「27」は、パディントンからヒースローに行くのに、地下鉄ではなくバスで行くとしたら、乗るやつである。

 

カムデンには人が溢れている。そして「27」にも、人がどっと押し寄せる。バスはほぼ満員らしい。僕は二階の前から二番目に座った。と、そこで、バスの電光掲示板を見て、思い出した。そうか、二階は立つの禁止だったよな。

 

二階に立ってる客を確認したらしく「下に降りてください」の表示

 

思うに、運転席には、いくつか、セリフを表示させるボタンかなんかがあって、二階に立ってる奴がいたりすると、運転手がそのボタンをポチッとするんかな。

 

この電光掲示板、当然、我々の頃はなかった。「次のバス停は…」なんてさ、ちゃんちゃらおかしいんだよ。そんなのは、オノレの才覚で、なんとかするもんなんだよ。

 

ただ、こんにち、ロンドンバスは、完璧なまでの手助けをしてくれる。サルでもわかる元々のベースなのに、その上に、ずいぶんなオカワリまでしてくれる。こんなに生温くて良いの?えげれすを生き抜くって、そんなに易しかった?安心しちゃって良いの?

 

そんなことをうつらうつら考えていたら、突然、電光掲示板に異変が生じた。今まで、我々乗客を生暖かく包んでくれていた電光掲示板が、突然、変なことを言い始めた。曰く、

 

「次のバス停は…いや、次はね、…、迂回になるよ(on diversion)」

 

今まで、忠実に、律儀に、ルート通りに、「次のバス停は…」とやってきたのに、突然、トチ狂ってしまった。そして、いったい、何なんだ?

 

あとで調べてみたら、

 

「…緊急破裂した給水本管の修理作業のため、運行ルートが変わり、いくつかのバス停はclosedになります」

 

サクッと破裂

 

いやさ。
いくつかツッコミ入れさせてよ。

 

なんでルートが変わるのよ。ルートを勝手に変えたらいかんやろ。

なんであっさりバス停閉じるのよ。勝手に閉じたらいかんやろ。

 

いや、そこじゃない。

ちがう、ちがう、そ こ じゃなーいー。

 

水道管が破裂するなよ

 

なんで水道管があっさり、破裂するのよ。日常的に起きる出来事じゃないでしょう。あ、でも、そう言えば、Cricklewoodでも道が水浸しだったな。

 

やはりな。
毎日言ってるな。

 

Things happen (水道管だって、破裂することもあるわな)
Never Mind (破裂するときはするし、気にしない)

 

しかし、僕にとっては、いささか問題である。つまり、パディントンからヒースローに向かう際に、乗るかもしれない「27」が関係しており、乗る予定だったバス停は、「水道管破裂」のために「closed」なのだ。代替手段を考えねばならぬ。

 

…オレ、なんか、毎日、何かしらの「代替手段」を考えさせられる状況にいるよね。

 

しかし、それがえげれす。
もう何も起こらないなんて、言えないよ、ぜったいー♪(気に入っちゃった)